ホイールバランスについて、ちょっと考えて見ましょう。
まずは、ホイールバランスって何?という方のために簡単に説明します。
いきなりですが、電源を入れていない4枚羽の扇風機を思い浮かべてください。
そして、一枚の羽に十円玉を貼り付けてみましょう。
さて、どうなりましたでしょうか?
十円玉を貼った羽が、下にさがりましたね。これが、アンバランス状態です。
その状態で、最初に十円玉を貼った反対側(対角側)の羽に、
十円玉を貼り付けて、手でゆっくり羽を回し、好きな所で手を放してください。
手を放したところで、羽はほぼ止まりました。
今度はバランスが取れている状態です。
タイヤ交換時など、タイヤとホイールを組み込んだ時は、
1回目に十円玉を貼ったように、ほとんどがアンバランス状態です。
2回目に十円玉を貼り付けるような作業をして、バランスを調整します。
これが、スタッティックバランス(静的)調整です。
さて、ここからちょっと複雑になりますが、がんばってください。
ビールの空き缶に串を通したような、
完全に円柱形のコマを思い浮かべてください。
そのまま回すと、きれいに回ります。では、十円玉を貼り付けてみましょう。
今度は、十円玉を二枚重ねてください。
コマ本体の上端と下端の、ちょうど真ん中あたりに貼り付けて、
回してみましょう。
きれいに回りました?そんな訳ないですね、ぶるぶる震えてまともに回りません。
それでは、きれいに回るようにバランス調整をしてください。
ただし!条件があります!
調整用の十円玉は、コマ本体の上端か下端にしか、貼り付けることができません!
※注意!実際のホイールとタイヤのアンバランスは、真ん中とは限りません。
答え合わせです。
文章だけでは、なかなか理解しにくいと思いますが、ご了承ください。
正解は、二枚重ねで貼り付けた十円玉から180度の角度で、
上端、下端に一枚づつ十円玉を貼り付けます。
180度の角度でも、上端、または下端に二枚重ねで貼り付けると、
どうなるでしょうか?
スタッティックバランス(静的)は調整されていますが、
コマは余計まともにまわりません。
スタッティックバランスだけの点検で、しかもオモリの貼り付け方によっては、
さらにバランスを崩してしまうことがあります。
コマが安定して回るように、実際に回転させてバランスを調整することが、
ダイナミックバランス(動的)調整です。
四輪のタイヤ交換では当たり前のように、
ダイナミックバランスを調整するのですが、
二輪では、二輪用のダイナミックバランサーが、まだまだ普及していません。
※注意!実際に、ホイールをバランサーに装着して回転させていても、
それがダイナミックバランサーだとは限りません。
また、ダイナミックバランサーを使用しても、
二輪車のダイナミックバランス調整には、
ちょっとした根気と熟練が必要な場合があります。
ダイナミックバランスが狂っていると、コーナーリングの不安定、
制動距離が伸びるなどのグリップ力の低下、
ハンドルや車体のブレ、振動、タイヤの偏磨耗などの原因の一つになります。
しかし、ダイナミックバランスが狂っていても、かなり症状がひどい場合を除き、
ほとんどのライダーは気づかず、
無意識のうちに補正をしながら乗っていることが多いので、
うまく走れなかったり、疲れがひどいなど、
知らず知らずの内に跳ね返ってきている事があります。
ダイナミックバランスが取れているバイクは、
サスペンションに余計な負荷を与えないため、
まるでタイヤが路面に吸い付いているような感じと、
乗り心地がすごくスムーズになります。
また、アンバランスな状態は、高速走行でしか影響がないと思われがちですが、
実は低速から影響しています。特に40〜80Km/hでも現れやすいですね。
スタッティックバランスだけでいいと言われたり、
思われたりする方もいらっしゃると思いますが、
ダイナミックバランスも調整されている方が、
間違いなくバイクの性能を引き出します。